ドラフト直前!4年前のリベンジに燃える男たち

異例な状況で迎えるドラフト会議


今年もドラフト会議の季節がやってきた。
今年は、全世界に大流行した新型コロナウイルスの影響でオリンピックが中止となり、プロ野球では開幕が遅れた上、無観客試合での実施など、スポーツ界でも大きな影響を受けている。

その影響はプロのみならずアマチュアスポーツにも及び、夏の甲子園大会やインターハイは中止となり、高校生は部活動の最後の集大成となる大会を迎えることができなかった。
野球では、そんな高校生のために各地で代替大会が用意され、プロを目指す高校生のために合同練習会を開催し、プロのスカウトに向けてアピールの場を作った。

また、大学野球や社会人野球、独立リーグも無観客試合などの対応をしながらリーグ戦が開幕した。

4年目の高校野球と
ドラフト会議を振り返る


4年前(2016)の高校野球は、横浜高校の藤平尚真選手(東北楽天)や創志学園の高田萌生選手(東北楽天)、履正社高校の
寺島成輝選手(東京ヤクルト)、夏の甲子園大会を制した作新学院の今井達也選手(埼玉西武)が、高校生ながらストレートが150㎞以上を計測し超高校級ピッチャーとして注目された。

また、昨年のプレミア12でも侍ジャパンに選出された山本由伸選手(オリックス)や、今年中継ぎとして大ブレイクした大江竜聖選手(読売巨人)もこの年代の選手である。これらから見ても、投手が豊作の年であったと言えるだろう。
この年は105人がプロ志望届を提出、45名がドラフト指名され、1名を除いてプロ野球選手となった。

その後今年に至るまでに社会人野球や独立リーグを経て、高校でプロ志望届を提出した選手の中から3選手がドラフト指名を受けプロ野球選手となった。結果的にこのときのプロ志望届提出者からは、約40%がプロ野球選手になった

4年前の悔しさをバネに
大学野球で己を磨き
今年のドラフト会議に挑む選手達

何もかもが異例な状況で迎えるプロ野球ドラフト会議。今年も350人以上の高校・大学生がプロ志望届を提出している。

今回は、そんなプロ志望届を提出した大学生の選手を対象に、4年前の高卒ドラフト時もプロ志望届を提出し、指名漏れで悔しい思いをしながら大学で己を磨き、今年再挑戦に燃える選手に注目した。

日本ウェルネス高校→桐蔭横浜大学
渡部健人:右投/右打


176㎝112㎏の大きな体で力強いバッティングと、その見た目からは想像つかない軽快な動きでのサードの守備が魅力の選手。

2年生のときのリーグ戦では、春秋ともに打率4割をマーク。3年生の時までに放ったホームラン数は10本で、神宮球場の右中間スタンドにも叩き込む。

帝京第三高校→四国学院大学
水上由伸:右投/右打


高校時代は野手としてプロ志望届を提出するも指名漏れに。
大学途中までは好打者としても注目されたが、3年生の時にピッチャーへ転向。

いきなり149㎞をマーク、防御率も0点台を記録。今年に入り球速が150㎞を記録し、一気にスカウトから注目されることに。

日本航空石川高校→大阪学院大学
打田雷樹:右投/右打


長身から投げ下ろす力強い直球が武器の本格派右腕。
最速147㎞で、球速よりも速く感じる威力がある。

3年生の時の春季リーグでは、リーグトップの6勝をマーク。

神戸国際大附属高校→亜細亜大学
平内龍太:右投/右打

 

1年生の時からマウンドに上がり、直球は150㎞超え。3年生の時に右肘のクリーニング手術をするなど、その後は自分の力を出しきれない年が続いたが、手術後の今年8月には最速154㎞を計測。変化球も精度が戻り完全復活を遂げた。

自由ヶ丘高校→九州国際大学
岩田諒大:右投/右打


最速147㎞の直球が武器のプロ注目右腕。
3年生の秋季リーグでは4勝すべて完投し、長いイニングも投げることができるスタミナも見せつけ、敢闘賞のタイトルを獲得。

4年前の悔しさをバネに
今年のドラフト会議に挑む選手達【番外編】


履正社高校→JR東日本
山口裕次郎:左
投/左打


4年前、ドラフト6位で日本ハムに指名を受けたが、入団せずに社会人野球へ進む。

球の出どころ掴みにくいフォームからのMAX145㎞の直球と得意のスライダーを武器の左腕。今年こそドラフト上位で同級生の寺島選手(東京ヤクルト)の待つプロの世界に進みたい。

大阪体育大学浪商高校→JR東日本
西田光汰


昨年はドラフト対象選手となったが、右肘の痛みに悩まされ10月に手術。
苦しいリハビリを経て、今季から先発に挑戦。

元々多種の変化球を操る技巧派のピッチャーであったが、球速も上がり、今は1試合通じて140㎞台を投げる。

最後に


今回調査をしていく中で感じたのが、大学野球が自分を磨く環境としていかに良いかということである。
47人がすでにプロ野球選手となっており、今回調査した7選手を入れると残りは51人。

調査する前は、この年代の選手が今年のドラフトでプロ志望届を提出する選手はさほど多くないのではないかと考えていたが、調査した5選手を除いて今年のプロ志望届を提出した選手は153人となっている。(2020年10月25日現在)

また、様々な雑誌などの前評判などをみると、高校時代はなかなか力を発揮できなかった選手が注目選手となっていたりと、4年前のプロ志望届を提出した選手と大きく顔ぶれが変わってきている。

もちろんその年代によっては選手の数に変動があるが、自分を大きく成長させる環境として大学野球は良い環境であるといえるだろう。

今年、異例続きの環境で自分の実力を出せなかったり、コンディションを調整できず怪我に苦しんだ高校生は、ここで野球を諦めるのではなく大学野球で自分を磨き、4年後を目指すのも一つの選択肢として考えるべきではないだろうか。

 

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